古庄染工場
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039LAUNDRY

2024.6.5

日本橋三越 POP-UP SHOP のお知らせ

時代を越えて引き継がれる。江戸時代から続く伝統的な技法を今もなお維持し未来へ継承される。

紺屋古庄の六代目、現代の名工のもとで実現した唯一無二の製品が完成しました。徳島県無形文化財保持者にも選定された名職人 古庄紀治(ふるしょう としはる)氏と、後継者の美智子さんが真摯に藍と向き合い伝統を守り続けています。

化学染料の発達と輸入で生産は減少している中、品質の良い徳島の藍を用いて、昔ながらの「天然灰汁発酵建て」にこだわり、素晴らしい作品を生み出している古庄染工場と039LAUNDRYの特別な企画です。

古庄染工場の歴史を辿ると、150年以上前の江戸時代から藍染めを行っていて、もともとは”わたや”という名前で、綿の糸染めを専門に営んでいたそうです。

”藍染め”とは、タデアイという1年草の葉が原料の草木染めで、科学的なものを全く使わない天然の材料だけで染める藍染の染液は、自然に還るので環境を傷めません。昔は使い終わった藍液を畑に蒔いてアルカリ土壌にする活用方法もありました。古庄染工場では、徳島県産のタデアイを使用し、木灰の上澄みをはじめ、石灰や糖蜜など、自然界にある素材だけで藍液をつくる「天然灰汁発酵建て」によって、何百年も昔から変わらぬ製法で藍染めを行っています。

いくつかの大きな藍甕(あいがめ)の中には、それぞれ発酵の日時が異なる藍液が入れられています。甕の中の藍液は、使っていくうちに布に藍が移っていくので、だんだんと薄くなるため、甕ごとに濃さの異なった藍液を用意して使っていき、注文に応じて使う甕を変え、仕上がりの染め具合をコントロールします。ひとつの甕で一日に5キロしか染める事が出来ず、上限を超えてしまうと藍が過労の状態となり液が使えなくなってしまいます。この度製品化されたアメリカン・シーアイランドコットンの半袖Tシャツに置き換えると約4着程度しか染められません。

また、発酵を利用して行っている藍染めは、昨今の温暖化による気温上昇により、ここ数年の問題として藍液が異常発酵してしまうという現象がみられるようになりました。自然を扱う繊細な手仕事です

見えない藍液の中では、ムラが出ないように美しく染めるために布地を動かすことが大切です。それは、素材や形状、厚さや長さによって微妙な変化を加え、熟練した経験で培った感覚と技が必須となり、素手で感触を確かめながら行っているため、手や爪は藍の色に染まっています。今回の特別なTシャツでは、この侵染(しんせん)という漬け染めの方法で、作業していただきました。

制作を依頼したTシャツのうちのひとつに「よろけ」という柄があります。一般的には「立涌文様(たてわくもんよう)」と呼ばれる伝統的な柄で、本来、公家の社会で使われた有職模様になります。2本の曲線を用いて水蒸気が涌き立ちのぼっていく様子を表し、“運気も上げる”とされ「お金が湧く」や「子孫繁栄」など縁起の良い柄とされています。この柄を作る為には、染める前に折り畳んだ生地を手で一針ずつ縫っていく工程がありますが、一日で2着分が限度という繊細で大変な作業が行われています。

染めを重ねるごとに色合いが変わる藍染め。その濃淡のバリエーションは多色に渡り、希望の色に染め分けることが出来ます。絶妙な藍の色みは、職人の長年培われた技術と経験、勘によりコントロールされています。

染めては干して、空気に触れて酸化させることで化学変化を起こし、鮮やかな色が生み出されます。これを何度も繰り返すことで、より深い藍へと染まっていくのです。湿気の多い梅雨時期や冬期は乾きづらいため、工場内にはストーブが常備してあります。

今回の藍染めTシャツでは、12回ほどの染めが必要になり、完成までに手間と時間をかけてひとつずつ丁寧に工程が行われ1枚の作品が生み出されました。

この度、039LAUNDRYのアメリカン・シーアイランドコットンと徳島の藍の特別なTシャツを3型をご用意いたしました。開催中の日本橋三越POP-UP SHOPでも展開しております。ぜひこの機会に、POP-UP SHOPへお立ち寄り、お手に取ってご覧ください。

古庄紀治(ふるしょう としはる)
1947年徳島市生まれ
1998年 国選定卓越技能章「現在の名工」表彰
2018年 徳島県無形文化財に指定

古庄紀治氏と後継者の美智子さん

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